Interview 01 Jon Klassen / 文芸フェス2014で来日が決定したジョン・クラッセン氏の制作活動に迫る。

2014.01.27

3月3日にカナダ大使館で行なわれるイベントに出演するジョン・クラッセンは、今世界から最も注目されている絵本作家のひとり。I Want My Hat Back(『どこいったん』)やThe Dark(『くらやみこわいよ』)など、ユーモアと静謐さが同居するその作品のインスピレーションの源とは。



——イラストレーションの仕事を始めるきっかけは何でしたか?

ジョン もともとはアニメーションの仕事をしていて、ドリームワークスや別のスタジオで働いていました。アニメーション映画は好きだけど、ときに4〜5年 かかることがあって、一つの作品にそれだけの時間をかけるということは、その作品を本当に好きじゃないとできないことですよね。僕はその頃から並行して本 作りもしていたんですけど、ある時、本はとてもシンプルであることに気づいたんです。本は言いたいことをほのめかしたり、提示したりできる。誰かの文章に 絵をつけるにしても、そのテキストに沿っていれば、自分の絵で別の物語を伝えることもできる。それは大人数で仕事をする映画ではできないことです。
それに1時間30分もある映画では、その世界観や背景をすべて絵にするけど、絵本は30〜40ページなのですべてを描く必要はない。そのサイズが自分に あっていると思う。I Want My Hat Back(『どこいったん』長谷川義史訳)も This Is Not My Hat(『ちがうねん』長谷川義史訳)もシンプルでしょう?



——熊が大切な帽子を探して訪ね歩くI Want My Hat Back、小さな魚が大きな魚の帽子を盗んで逃げるThis Is Not My Hat。どちらもユーモアのあるお話ですが、絵本のインスピレーションはどこから?

ジョン I Want My Hat Backは表紙がまず浮かびました。帽子を被っていない何かが描かれていて、タイトルにI Want My Hat Backとあれば面白いなと。それまで絵本を書いたことがなくて、最初はストーリーもなかったんです。
そのうち小さなステージの劇を作るように作ってみたらどうだろうと考えた。対話形式にして、会話文に2色を使うことで、誰が話しているかがぱっと見て分 かるようにしようと。その時点でもまだストーリーはなくて、ただ帽子と熊だけだったけど、会話文がストーリーを語るというフォーマットが思いついた。あと は自然にストーリーが出きていきました。
この絵本には途中、真っ赤なページが出てきます。僕は熊の感情を顔や表情で表現したくなかったから、ページを赤にすることで、熊が怒っているということ がわかるようにしました。文章でもわざわざ怒りを表現していないけど、絵と文章があっていれば、怒っていることが伝わる。それはこの本全体にいえること。 Showではなく、Suggestしたかった。細かく書き表わすのではなく、見る人がそこから読み取ればいい。それは子供が日常的にしていることと同じで す。子供たちは大人達からヒントを得て、読み解いていくことに長けているんです。



——暗闇を恐れる男の子が描かれるThe Dark(『くらやみこわいよ』蜂飼耳訳)は、小説家のレモニー・スニケットが物語を書いています。ご自身で物語も絵も描く絵本を作る時とは違いがありましたか?

ジョン 自分の作品の場合、アイデアがあって、それが好きで正しいと思えればとても楽しいけれど、アイデアがなかったらひどいもの(笑)。朝起きても誰も何も教えてくれないし、自分から生み出すしかない。
誰かの文章がある場合は、安心感があって、より絵で遊べるし、他人の物語の中に自分に似ている何かを見つけられれば面白い。それはとても個人的な体験で、エクササイズにもなる。
The Darkは先に絵を描いて、ダニエル(レモニー・スニケット)に送り、彼がストーリーを書いていきました。ビジュアルのアイデアをもとに作っていったんで す。絵本によっては文章のまわりに絵がデコレーションのようにあって、絵は何も新しい情報を提要しないようなものもあるけど、これは違う。ここに絵を入れ て、文章はこうこうでと誰かと一緒に作っていくのは楽しいですね。

——サイト上(http://jonklassen.tumblr.com/)では、幽霊のシリーズをはじめ、たくさんスケッチや作品を発表されていますね。

ジョン 幽霊のシリーズは自分でも気に入っている作品です。僕は以前から幽霊って何年ぐらい幽霊としてやっているんだろうとか、実は退屈なんじゃないかと か、幽霊だって何をしたらいいんだろうって思っているはずだと想像することがあった。だから、「僕に何を期待しているんですか? なんで僕らに興味がある んですか?」って思いながらこちらを見ている幽霊たちを絵にできればーーそんな風にドローイングを描いていきました。
それはI Want My Hat Backのキャラクターたちにもどこか共通している点です。僕はキャラクターを描くのはあまり好きじゃなくて、もし描くとしたら、少し驚いているキャラク ターを描こうと思った。そういう風に見えるフォーマットを作って、キャラクターたちが大根役者に見えるようにしたかったんです。映画の撮影中にカメラを見 てはいけない場面でついカメラを見てしまうような役者みたいに見えればいいな、と。

——今取り組まれている新作は?
ジョン 東京国際文芸フェスの頃にはまだ出版されていないけど、絵本のタイトルはSimon and Dave Dig A Hallになると思う。EXTRA YARN(『アナベルとふしぎなけいと』)を一緒に作ったマック・バーネットとの共作で、2人の子供が地面に穴を掘るけど、何も出てこないっていうお話で す(笑)。


<プロフィール>


ジョン・クラッセン 1981年、カナダ・ユニペグに生まれ、オンタリオで育つ。2011年に刊行されたI Want My Hat Back(『どこいったん』)がニューヨーク・タイムズ紙が選ぶ絵本ベスト10に選ばれる。ほかにレモニー・スニケットが物語を書いたThe Dark(『くらやみこわいよ』)など。2012年刊行のThis Is Not My Hat(『ちがうねん』)でコルデコット賞を受賞。現在LA在中。

文芸フェス2013 イベントレポート01 / 作家たちが語る「東京国際文芸フェスティバル」

2014.01.27



第1回「東京国際文芸フェスティバル」に世界中から参加した作家や出版関係者たちの声と表情を紹介します。

http://www.nippon-foundation.or.jp/what/spotlight/read_japan/story2/index.html

文芸フェス2013 イベントレポート02

2014.02.04



Nippon.comに特集として、国際文芸フェスティバルの記事が掲載されました。

http://www.nippon.com/ja/views/b02902/(Nippon.com)